会場の様子をいち早くお届けします!
カテゴリ:未来建築( 17 )
浮庵 新年茶会の様子をご紹介します
多くのお客様にご来場いただいた「未来建築」展も11日で終了し、現在会場では、15日から開催される「ときめきフェスタ アート展×キラキラっとアート展」の準備が進んでいます(17日まで)。

今日は1月3日に開催した、浮庵での新年茶会の様子をお届けします。
お茶会には、たんくさんの方に参加申込みをいただきました。
ご応募いただいた皆様、ありがとうございました。
残念ながら参加いただけなかったお客様も、その様子だけでもお楽しみいただければと思います。

1月3日のイムズ。
新年のお買い物を楽しむお客様で賑わうイムズプラザで、新年茶会は厳かに始まりました。
5名1組で30分ずつ、立礼席のお客様も含めると総勢100名が参加するお茶会です。
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浮庵の薄い布越しに展開される、お茶の作法の美しさ、気持ちの引き締まるような厳粛さ。
通りかかった人々も足をとめ、時間も場所も忘れて見入っているようでした。
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参加されたお客様は、はじめは大いに緊張された様子でしたが、お茶会が終わる頃には楽しげに感想を話し合う姿が見られました。茶室という限られた空間、凛としたお茶会の雰囲気は、その場を共有した人と人との距離を急速に縮める力があるようです。「お茶会で合コンなんかもアリかもね」という意見も出たほど…。
次の写真は、浮庵の外でお茶を楽しむ立礼席の様子です。
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ご家族で参加される方も多くいらっしゃいました。
参加された子どもさんに感想を聞くと「お茶おいしかった!」という元気な答えが返ってきました。
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参加された方だけでなく回りで見ている方々にも、普段なかなか体験することのない、お茶会の独特の雰囲気を楽しんでいただけたのではないかと思います。
背筋がピンと伸びるような、新しい年の始まりにぴったりのイベントとなりました。
by artium | 2010-01-13 19:07 | 未来建築
「未来建築」会場の様子をお届けします!⑥
いよいよ明日までとなった「未来建築」展。
会場の最後には、こんなキャプションが掲げられています。
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本展では、ローランド・ハーゲンバーグ氏が9組の建築家へ投げかけた質問に、来場された皆様にも答えていただくコーナーを設け、回答を募りました。今日は、皆様の熱い思いがびっしりと書き込まれたアンケート用紙の中から、いくつかご紹介したいと思います。

1.建築の未来には、まだ革新の余地は残されていますか?

・回帰しながらも、革新は続いていくと思う。
・未来というものに対して、今の状況から人々は「不安」という要素の方が強すぎ、
 楽しむというコトを忘れてしまっている気がする。
 そのような状況を打開していく建築はこれからどんどん発展していくと思う。
・新素材はこれからも出てくると思う。それらにより建築も革新していくのではないかと思う。
・あると思います。人が自然の中で生かされている限りあり続けていくと思います。
・人々がもっと「建築」に関心をもつかどうかによると思います。
・夢や希望を抱き続ける建築家が存在する限り無限に広がっていくものだと思います。

2.「消費者指向」という考え方が建築の未来に与える影響とは?

・画一的、単純化が進むのではないでしょうか。
・現在はエコ、低消費の考え方が広まってきています。
 なので、シンプルにわかりやすい建物になっていくと思います。
・消費者指向だけではマイナス。多様な考えを合わせていくコトが重要では。
・消費者の願う建物がいかにリーズナブルに心地良く供給、提供できるか。
 ひとえに建築家と建築業者の時代を見据えた誠意にかかっています。
 まだまだ福岡にも建築家の卵はいっぱい育っていますよ…
・これからは、消費者が制作者、建築家になるかもしれないと思う。
・消費者指向という考え方を変えたい。違ったベクトルを持たせて、ポジティブな指向へ
 変えさせたい。
・無から有を生み出す側の斬新性が失われ、流行指向の均一化された世の中になると考えます。

3.出生率の低下は一人あたりの居住空間を広くしますか?

・居住空間ではなく、公共空間(共有空間)のバリエーションがどんどん増えていき、
 居住空間との関連性の拡がりが強く・大きくなっていくと思う。
・広くしない。必要最低限でいい。人が減った分だけ自然?に還すべき。
・広ければよいというものではありません。ル・コルビジェの最終のすみ家のように、
 狭くても必要最低限のスペースと空間が確保されることが大切です。
・田舎では、すでに広くなっていると思う。都会、大都会は変化ない。
・現存の建物をどう使うかによると思う。
・なりません。日本人が総じて広い家に住みたいとは思えないです。
・空間というのは、広い狭いという観念で感じるものではなく、人と人のつながりや
 思いによって大きく影響を受けるものだと思います。
 とても寂しい空間になるのではないでしょうか?

4.畳や障子、玄関などの日本独特の建築様式に明日はあるのでしょうか?

・そのままの形で畳や障子をつかうのは難しい。
・私はあると思います。今はかなり減っていますが心の安定、日本であるということ、
 自然との調和、いろいろな面で畳や障子はこれから見直されていくと思います。
 何より、私自身が好きです。
・近代の建築から受ける印象は無機質。畳や障子は自然との調和・精神の安定を
 もたらすものではないか。もし無くなれば、その後にその意味に気づく時が来るのではないか。
・様式‐スタイル‐としては先細りながらも続くでしょう。
 考え方(扱い方・哲学)‐フィロソフィー‐としては大いに広がるでしょう。
・必要とされるものは、形を変えて残っていく気がします。
・日本の文化は西洋の文化と比べて合理的でないように感じるが、これから求めらていく
 豊かさにつながると思う。 畳、障子などを「TATAMI」「SHOZI」とグローバルに新しいものに
 していくよりは、今までの「日本におけるもの」としての、古くからある伝統をより極限まで
 洗練することで、その存在意識が見出されるのでは?
by artium | 2010-01-10 11:44 | 未来建築
茶室・浮庵 設営の様子をレポートします!
今日は、1月6日までイムズプラザに展示していた「浮庵」の様子をお届けします。
短い期間でしたが、たくさんの方にお楽しみいただき、大きな反響がありました。
大好評だった新年茶会の様子はまた次回のお楽しみにして…

今日は、茶室・浮庵のできるまでを、特別にご紹介したいと思います!
最初の写真は、設営を終えたばかりの浮庵の様子です。
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「畳だけ現地で用意すれば、どこにでも持ち運べる茶室」。設計した隈氏は語ります。
「『浮庵』の中で現出させたかったのは、『浮いた身体』という意識の状態。『浮庵』は、天女の羽衣のように、どこへでも風にのって漂っていくことのできる究極の仮設住宅と言えるでしょう」

浮庵には、壁も柱もありません。
本当に風にのって漂っていけそうな、でも中にいると安心する、不思議な空間です。
次の写真は、天井となる巨大なバルーンにヘリウムガスをつめているところです。
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宙に浮いたバルーンに、「スーパーオーガンザ」と呼ばれる世界で最も軽い、透明感のある布をかぶせます。バルーンの浮力と布の重みがつりあうことで、浮庵は誕生します。
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来場されたお客様からは、
「まるで水の中にいるみたいでした」
「不思議と安心します。昔の蚊帳みたい…」
「この中にいると、デパートの中にいるとは思えないくらい落ち着きますね。
私ここで暮らせそうです。」
「くらげ!!」
「天蓋のついたベッドみたい…!」
など、様々な感想をいただきました。
中には、茶室の中でごろんと横になるお客様も…。

ここがたくさんの人が行き交う天神の真中なんて、信じられないような気持ちになります。
たった1枚の布で仕切られた空間なのに…本当に不思議な体験でした。
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by artium | 2010-01-07 15:17 | 未来建築
「未来建築」会場の様子をレポートします!⑤
明けましておめでとうございます。
新しい年の幕開けです!
今年もアルティアムでは、ワクワクするような展覧会やイベントを多数予定しています。
どうぞご期待下さい!

今日は、未来建築展、感想帳の中からいくつかご紹介いたします。
会場の風景とともにお楽しみください。

f0023676_11414438.jpg●建築って面白いのだなぁと思いました。
模型や写真を見ていると、実物を見てみたいと気になりました。藤森さんの感覚がとても好きでした。

●自身の位置を知り、その先を見据え、移動してゆくことが、今の自分にできる建築との在り方だと思った。

●建築なんて、全く知識はないのだけれど、「未来建築」に参加されている方々の作品やコメントを見て、素晴らしいお仕事だなって感じました。
日本の衣食住を担うのは建築なのかもしれないって気になりました。

●住宅をつくっています。「早く、安く、いいものを」と希望されます。お客さんに未来建築を語ることができれば、もっといい家がつくれそうな気がします。
日々勉強します。

●全く飽きない!
いろんな考えがあって、未来ができていくのを感じて、2010年以降が楽しみになってきた。

f0023676_11423928.jpg●建築が、変化・解体を繰り返して自然と共存し、新たなものが生み出されてゆく転換期みたいなものを感じました。未来は今を取り込み、今は未来を設計していると思います。

●思想と現実は、未来ではひとつになっているのでしょうか?時代の状況の変化とともに、自然と思想に近づいていくのでしょうか?
戸建住宅にとっては、予算が大きな壁です。ちょっとした希望、要望も、予算で諦めざるを得ない。
そんな日々の中で、この未来建築はアートの域にとどまっているように思った。実感として。
でも、私も考え続けます。

●まだまだ建築には、新しいものへの余地があるのだと。
日本らしさを大切にした、日本独自の住宅をつくりたい。楽しかったです。
今回2度目ですが、また来ます。

●誰のために、何のために建築するのか?という考えが必要と思います。隈先生が(※映像作品の中で)「ここ50年、日本の大学ではコンクリートでの建築しか教えてこなかった」と言っておられますが、うなずけました。日本の風土にあった建物、日本人の体と心にあった建物、そして、住む場所すらない人々が多い世界の状況にも広く目を開いて、学生さん!!研究を頼みます!

f0023676_11441212.jpg●すべてが勉強になりました。作品の模型もインタビュー映像も、そしてこの皆さんのスケッチブック(※感想帳)も。自分の考える建築をこれから本格的に追求していきたいです。
補足:「建築家」というと遠い存在に感じるのは私だけでしょうか…
もっと人の近くにいる「家(建物)をつくる姉さん」というふうになりたいです。

●様々な建築家に同じ質問をすることで、考え方の相違を比較できてとても分かりやすかったです。

●DVDが欲しいよ~!
福岡でもこんな展示があってるんだなーと感心。帰省中にあった一番良かったこと。
浮庵には鳥肌。生で見れて死ぬ程嬉しい!建築は一番のロマンだ!と思うのだ!

★「未来建築」展はいよいよ1月11日(月・祝)まで!
by artium | 2010-01-04 11:48 | 未来建築
「未来建築」会場の様子をレポートします!④
2009年の営業もいよいよ本日までとなりました。
今年最後にご紹介するのは、ローランドハーゲンバーグ氏が本展の参加建築家たちに7つの質問で迫るインタビュー映像(48分)。
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「建築の未来には、まだ革新の余地は残されていますか?」
「畳や障子、玄関などの日本独特の建築様式に明日はあるのでしょうか?」
「建築家を志す日本の学生たちは、未来を受けて立てそうですか?」
「自身の作品の中で、未来の模範としてふさわしいものは?」

ひとつひとつの問いに対し9通りの様々な回答があり、時間を忘れて見入ってしまいます。
建築に携わっていなくとも、「私だったら…」と建築の未来について真剣に考えてしまうエキサイティングな展覧会。ぜひご覧下さい!

※本展のチケットは、会期中何度でも再入場できます。
お時間がなく、全ての作品を一度にご覧になれなかったというお客様もぜひご利用下さい。

「未来建築」は、2010年1月11日まで!
by artium | 2009-12-30 10:59 | 未来建築
「未来建築」会場の様子をレポートします!③
お久しニワ~!アルティアムのマスコット、ハニワニワ!
ハニワは何を隠そう、名きのこハンターニワ!

くんくんくん…
向うの方から、おいしそうなきのこの匂いがするニワよ~!!


見つけた!
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大きなキノコニワ!
おっ?!
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こ、これは…この建物は…

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ハニワにそっくりニワ!
きっと、ハニワをイメージして造られた建物ニワね!
名づけてハニタワー!!
みんな、これはひと目見に来るニワよ~!!






…違います。


これは、藤森照信さんの「東京計画2107」。
この作品には、ハニタワーに負けないくらいびっくりするようなコンセプトが隠されているのです!
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この模型は、100年後、温暖化で海面が上昇し、沈没してしまった後の東京をイメージしてつくられたもの。
藤森氏は、温暖化が進んだ未来の地球と誕生期の地球の状況を重ね、誕生期に地球を覆っていた大量のCO2が、海中のサンゴ虫の働きによってさんご礁に、樹木の光合成の働きによって木に吸収され自然に減少していったように、未来の地球も、傷口を塞ぐかのように自力で回復を始めるのではないかと語っています。残った人類は、さんご礁と木というふたつの素材を使って高層建築を作り、新しい都市を築き上げていく…そんなエポックメイキング的なストーリーをイメージしてつくられた作品です。

実はこの作品、会場で最初に出会う模型です。
「建築の展覧会」というと、「難しいのでは…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、最初のこの作品で、なんだか緊張もとけるようです。
地球の自浄作用に着目した藤森氏の発想の斬新さ、素材のやさしさ、造形の可愛らしさに、「実物が見たい!」という声も多く寄せられている作品です。
by artium | 2009-12-20 17:30 | 未来建築
隈研吾×ローランド・ハーゲンバーグ トークイベントレポート 番外編
隈研吾氏とローランド・ハーゲンバーグ氏のトークレポート、最終回の今回は、質疑の模様をお届けします!学生さんが多く、質問の答えからお二人の学生時代が垣間見られました。


—お二人の学生時代と現在との、学生を取り巻く環境の変化は?

ローランド・ハーゲンバーグ氏(以下、R):私が学生の頃のヨーロッパは、情報はトップダウンで受け取るだけでした。いまは、情報に対して双方向の関係があるように思いますね。

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隈研吾氏(以下、K):そうねぇ。君たち(会場にいた学生さんたち)がトップダウンと感じているか、双方向と感じているのか聞いてみたいんだけど。確かに、インターネットが来る前は、建築雑誌が権威に支えられた中心にあり、どうしてもトップダウン的だった。でもいまは、インターネットがある割には、まだみんな回りを気にしているなぁって感じが。下の方から何か起こしていけば面白くなると思うんだけど。

R:私はインターネットについては懐疑的なんだけれど、たくさんある情報の中から「選ぶ」という行為をしている。情報の選択肢を示してくれる指導者がいないのではないでしょうか。

K:さっきも出たコーチという概念がすごく重要になるかも。先生というのではなく、コーチのように一緒にやる人が必要。先生としての1時間のレクチャーは大変だけど、一緒にワークショップをやると、こっちも構えなくていい。今日紹介したものはほとんど、学生とワークショップみたいにしてつくったものですよ。



—学生時代にやっておいたほうがいいことは?

R:将来どんな家に住みたいか、どんな風に住みたいかを考え始めること。どんな家に住むかは、自分自身を作り上げるものだと思いますね。

K:僕の家は、元々小さくて増改築していったもの。その時にね、おっかない父だったけど、家のことは、こういう間取りにしようとか、壁は白いペンキを塗ろうとか、家族会議で決めてくれた。どういう家がこれから住むべき家かな、って子どものうちから考えていて、今もずっとやってる気がする。それから、語学はやっといた方がよかった。中国語やフランス語を話せたらどんなに世界が広がっただろう、って今思ってる。これから、日本の建築家の仕事はどんんどんなくなってくるから、中国や台湾での仕事が重要になるかもしれない。絶対言葉は勉強しといた方がいいと思うな。



—最も素晴らしいと感動された建築は?

f0023676_11194773.jpgR:一番好きなのは、ヨーロッパの古城ですね。今までのお話の中では、シェルタイプの建築に入ると思いますが、現在のシェルタイプの建築とは違って、古城にはロマンティシズムが感じられる。ディズニーランドのお城に感じるような、おとぎ話のような魅力がある。生活の色々な要素を含んでいて、面白いですね。

K:面白いですね、お城。色んな要素がある。僕はね、学生の頃から色んな建築を見て回るのが好きで、見まくりました。フランク・ロイド・ライトの落水荘を見たときは感激しちゃってね。森の中のロケーションに、まずやられる。ライトの建築は、ライトファンのボランティアさんが説明してくれる。その人がライトのことが好きで好きで、こんなにライトはすごかったんだよ、ってことを伝えてくれるんです。あぁ、死んでからこんなにたっても、愛され尊敬されてるんだってことにも感動しちゃった。


3回にわたってトークの模様を一部ご紹介して参りました。アルティアムでは、隈研吾氏はじめ、9組の建築家たちが「未来建築」として提案する作品の模型、スケッチや、ローランド・ハーゲンバーグ氏がインタビューした映像などを展示中。「未来建築」について、考えるきっかけとなる展覧会となっています。是非、ご来場ください!


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未来建築 日本からオーストリアへ
開催中~2010年1月11日(月・祝)
※12/31、1/1は休館

【参加建築家】
青木淳、藤本壮介、伊東豊雄、山下保博、藤森照信、妹島和世+西沢立衛/SANAA、隈研吾、
原広司、アストリッド・クライン+マーク・ダイサム/クライン ダイサム アーキテクツ
【ビデオ】ローランド・ハーゲンバーグ
by artium | 2009-12-18 11:28 | 未来建築
隈研吾×ローランド・ハーゲンバーグ トークイベントレポート 後編
前回に引き続き、隈研吾氏とローランド・ハーゲンバーグ氏のトークの様子をお届けします!


「壊されないティーハウス」の回答として、使うときだけ膨らませるものとなったフランクフルトのデザインミュージアムの庭につくったティーハウス。f0023676_1925685.jpgシャンパン会社の社長の言った「シャンパンは色んな温度でおいしい」という言葉から閃き、温度によって変化する、形状記憶合金を使用した実験住宅。Casa→傘という発想で、15個の傘でつくられる家。釘などを一切使わず組み立てられた木のおもちゃ「ちどり」の原理を応用した建築。ガラスファイバーを含んだ透けるコンクリート(右写真)など、多数の実験、作品を紹介していただきました。
その中でも、2つの茶室と実験住宅に関するやりとりを詳しくお伝えします。




小さな建築の実験—誰もが手にできる素材と生きているコーチ

隈研吾氏(以下、K):これは、1つの茶室みたいなものなんですが、それをつくっているエレメントは1枚1枚が小さいものでできてる。フランス・オルレアンにある建築博物館で展示したものです。

ローランド・ハーゲンバーグ氏(以下、R)R:この茶室は、クラゲみたいなイメージですね。もしこれがコンクリートでできていたら、誰かが中にいても何をしているのかわからない。コンクリートじゃないものだからこそ、情報がオープンになっていますよね。
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K:材料は、プラスチック段ボールと、コードなんかを束ねる時にぱちっとやる結束バンド。どちらも東急ハンズとかで売ってるような、簡単に手に入るものです。世界に4つくらいあるけど、輸送費が高くなっちゃうから、現地でつくることにしました。つくる場所によって材料が微妙に違ってて、例えば北京では、プラスチック段ボールが手に入らなくて、ポリカーボネートでつくりました。それが、白じゃなくって少し緑っぽいから、ちょっと渋い感じになってたりとか。ちょうどそれはね、生き物は、同じDNAでも、それぞれがいる場所によって違ってくるのと似てる。日本のカキとフランスのカキは、全然違う味だけど、DNAは同じだって話があるんです。それと同じように、この建築もDNAは同じでも、場所によって違うものができたのだと感じています。

R:隈先生は、いつも素材のことについて話していらっしゃいますが、その素材はいつでも誰でも入手できるものですよね。隈先生自身が生きるコーチとして、つくっていっている感じがします。

K:それは、すごく面白い指摘ですね。建築家と使う人の関係というと、シェルの頃の建築家は、上から目線だった。建築というものをつくってあげる、という感じで、偉かったんですよ。僕は、こういう誰でも手に入る素材で、「僕はこんな風にやってみた、次は君やってごらん」っていう風に生きているコーチとして、提案している。建築家は、プレイヤーに比べたらコーチだから、ちょっとは技はあるけど、基本的には同じ目線で楽しみたいから、その関係性は非常に大事だと思うんですね。

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これは浮庵といって、イムズでも展示するものです。簡単に言うと、ヘリウムの風船に、スーパーオーガンザっていう世界で一番軽い布をかぶせてあるだけなんです。スーパーオーガンザは、もう、天女の羽衣みたいなすごい生地。それを風船にのせているだけだから、この茶室全体は段ボール1個に入っちゃう。


R:この浮庵も、クラゲのイメージっぽい。中も見えるし、中から外も見えますよね。中にいて、隠れられる場所でもあり、安全に感じる場所でもある。隈先生は、何かスペースを設けて、入って隠れて、というようなことをやっていましたか?

K:僕は、蚊帳で遊んでましたね。今は見なくなっちゃったんだけど、僕らが子どもの頃は、おばあちゃんの家とか、蚊帳っていうのがあって、まさに、まさにこういうもんなんですね。蚊帳は、風船で作ってるわけではなくて、天井から吊るしてて、こう、蚊が入ってこないようにするところで寝てるんだけど、蚊帳の中に入るとめちゃくちゃ気持ちよくて。風が通るんだけど、独特の匂いもあるし、自分の体が新たな皮膚で包まれたような感じ。今日始めて気づいたんだけど、これは僕の蚊帳の体験から来ているのかも。
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次のやつは、ポリタンクでつくった建築。
ポリタンクで、工事現場にあるこういうポリタンク、見たことあると思うんだけど、水を入れて、
おもしにするポリタンクがあって、これを見た時にこれで建築つくれると思って、それで、最初は単純にレゴみたいなシステムで作ろうと思って。だけど、それでは天井がつくれなかった。長いものをつなげて、1個1個ずらしていくと、天井になる、アーチみたいなことができた。パイプが通ってるから、全体に水も流せるんですね。中の水をあっためて、床暖房にしたりできる。
いま、ギャラリー間でやってる展覧会で、庭に実験住宅をつくってます。隙間があるから、レインコートを着せてます。この家のテーマは、インフラフリー。電気や水を引いてこなくても、この中で全部完結する。だから電気は手回しで発電して、暗くなってきたら、手で回せば照明がつくという感じにしてるんです。

素材の変化と未来建築

R:これらの素材については、特殊な匂いがすると思います。素材によって色々な匂いがあると思うのですが、今後建築を設計するときに、匂いを計画の中に入れようと思ってますか。

K:匂いはこれからの建築にとってすごい重要だし、日本人は、住まいの匂いに敏感だと思うなぁ。蚊帳にも、畳にも、独特の匂いがあるし。檜や杉など匂いのある木を、日本人は好きだしね。古代は、匂いを基準に木を選んでたんじゃないかって人がいるくらい、木と匂いは一体のものじゃないかな。これからは、光や、触った感触や、匂いが重要になってくるんじゃないかな。

R:結局のところ、未来建築の変化は、素材の変化になると思いますね。社会の変化とは関係なく、素材は変化することはあると思いますか。

K:社会の変化と素材の変化は関係していると思います。なんか新しいすごいマテリアルが発見されたから、それで社会自体が変わるということもあると思う。20世紀の建築っていうのは、コンクリートと鉄っていうのが社会にすごく合ってた訳ですよね。コンクリートは建築で、鉄は建築とか自動車もそうだったけど、これからの21世紀の社会っていうのは、素材と社会は別の関係で別の素材がでてくるんじゃないかな。


今回ご紹介した「浮庵」は12/27〜1/6にイムズB2Fイムズプラザにて展示いたします。天女の羽衣のような、究極の仮設建築をお楽しみに!
また、1月3日(日)には、浮庵の中でのお茶会が開催されます。応募抽選制となっておりますので、下記イムズHPまたは館内応募用紙からお申し込みください。応募締め切りは、12月23日(水)となっておりますので、お早めに!
http://www.ims.co.jp/special/0912fuan/index.html

『未来建築 日本からオーストリアへ』は、
〜1月11日(月・祝)までとなっております!


次回は、番外編として会場にいらっしゃった皆様からの質疑の模様をレポートいたします。

by artium | 2009-12-17 20:06 | 未来建築
隈研吾×ローランド・ハーゲンバーグ トークイベントレポート 前編
おまたせいたしました!初日に行った隈研吾氏とローランド・ハーゲンバーグ氏のトークの様子を三回に渡ってお届けします。作品画像提供は、Kengo Kuma & Associates 、会場写真は本村大河氏撮影となっております。

15年前から交流を続けてきたお二人。トークイベント冒頭、ローランド・ハーゲンバーグ氏から今回のテーマである「未来建築」について自らの言葉で語ることから、二人のトークは始まりました。



未来建築ー2つの現代建築「シェル」と「スキン」

f0023676_1473186.jpgローランド・ハーゲンバーグ氏(以下、R)
15年ほど日本で活動し、現代建築の取材をしてきて、「現代建築は2つのグループに分けられる」という結論に至ったんです。1つはシェル(殻)、もう1つはスキン(皮膚)。
堅い殻のイメージのシェル。その典型には、丹下健三氏設計の東京都庁がありますね。第二次世界大戦後の日本の再建という過程において、ヨーロッパの影響を受けつつ、安全を求める中で生まれてきた建築方式だと言えるんです。保護されているけれど、一人一人のパーソナルスペースをつくることが難しい建築でもある。
一方のスキンは、身体の延長として柔軟性を持ったイメージ。第二次世界大戦を経験していない、未来を楽観的に見ている世代による、外界と自分自身を積極的につなげていこうとする建築です。
「未来建築」の展覧会では、スキンタイプの建築を集めました。外界と繋がろうとするスキンの建築は、ポジティブな未来を示してくれるはず。

隈研吾氏(以下、K)
ローランドは「スキン」と表現しているけど、最近、僕が「オーガニック」という言葉で考えているものと共通してるんですね。生物のスキンのような、インタラクティブなもの。人間の皮膚も、単に薄いものがついているわけではなく、外が寒いときゅっと縮んだり、たくさん食べたら膨らんだりする。そういったインタラクティブ性が、スキンの本質だと思うんで。シェルの中では、守られるのかもしれないけれど、それ自身が堅くて重い。インタラクティブかどうか、という点がシェルとスキンの最大の違いではないかなと思いますね。


隈研吾氏の作品の中で、「スキン」、「オーガニック」を感じられるものを
貴重なスケッチや写真などのビジュアルイメージを添えながら、お二人に解説していただきました。



小さな粒の建築ーグラナダ・パフォーミング・アーツ・センター

K:一番初めにお見せするのは、スペインの街グラナダのオペラハウスなんですね。スペイン人スタッフが教えてくれたんだけど、グラナダは「ザクロ」って意味なんです。ザクロって何が面白いのかっていうと、小さな粒が中にあるでしょう、その粒が全体を構成してる。そういうザクロみたいな建築をつくろうと思って設計しました。大きな建築だけれども、実は小さな粒が全体を構成している。大きな建築はどうしてもシェルっぽくなるけど、小さく分解することによってインタラクティブなものになってくれるんです。
このグラナダのオペラハウスは、大きなものを小さく分けるときにハニカム状の形を使って分けてるんですね。ハニカム状の形は、建物全体を支える構造体にもなっていて、柱や梁がなくても、1500人位が入れるようになってます。
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R:ヨーロッパでは、劇場と言うと必ずエンペラー(皇太子)専用の部屋がありますよね。
でも、ここにはそういうものはない。民主主義的な建物の構造になっていますね。

K:全員がエンペラーになれる、ということですよね。このハニカム状の1つ1つのセルがあるでしょう?ここは自分だけの空間のように感じられる。普通の劇場だと、劇場全体で1つのものだから、中心にエンペラーの席があって、全体を支配しているヒエラルキーができてしまう。ここでは、大きい建築を小さくしたことによって、小さいセルの中で、みんながお城のボスになれる。ローランドが言ったように、そういう「民主主義的」なものを、僕はやろうとしてますね。

小さな建築にはこのところずっと興味があって、物としての大きさが小さいだけじゃなくて、小さな「単位」を意識してます。コンクリートは、単位が分からなくて、大きな塊になっちゃって、シェルっぽくなってしまう。僕が考えるスキンの特徴は、小さな単位でできていて、1つ1つの単位を積み重ねて、人が自分で組み立てられることなんですね。
それは、人間が小さな細胞が集まってできていることと関係があると思うんだよね。体がコンクリートのような塊でできていたら、動きようがないわけじゃん。小さな細胞でできているからこそ、自由に動いてくれるんじゃないかって。そういう皮膚みたいな感じのものをつくったらいいと思ってるわけです。

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アルティアムで模型を展示している「浅草文化観光センター」(2011年開館予定)も、大きなビルだけれど、小さな家が重なっているような構成となっています。インタラクティブなスキンの建築たち、未来建築への展望をぜひ会場でご覧下さい!

『未来建築 日本からオーストリアへ』
〜1月11日(月・祝)までとなっております!


レポートの続きは後編で・・・
「小さな建築」の実験のお話をお届けします。

by artium | 2009-12-16 14:28 | 未来建築
「未来建築」会場の様子をレポートします!②
次にご紹介するのは、原広司氏の「ライディングプロジェクト2011」。
宙に浮いた、不思議な模型です。
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このプロジェクトは、作曲家・リストの生誕地であるオーストリア ライディング村で、2011年に行われる音楽祭へ向け進められている、エコ住宅プロジェクト。世界中から集まった音楽家やアーティストたちの宿泊施設として、本展に参加している9組の建築家が、安価で楽しく未来思考のエコ住宅をつくるというものです。

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原広司氏が提案するのは、5mキューブをつかった建築。
これまで、500m×500m×500mというスケールを見つめてきた原氏ですが、今回はインタビューの中で
「5mキューブをひとつの目標にしたいと考えている。できれば100くらいつくって、この中で何ができるか考えていきたい」と語っています。


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この作品は様々なアイディアスケッチとともにご覧いただくことができ、原氏の中で胎動しているイマジネーションの世界を垣間見ることができます。



ぜひ会場でお楽しみ下さい!




★「未来建築」は2010年1月11日(月・祝)まで!
by artium | 2009-12-15 12:51 | 未来建築