次にご紹介するのは、薄暗い空間の中央に展示された篠塚れいこさんの作品です。
朝、会場に入りこの作品の横を通ると、かすかに臭いが漂ってきます。
正体は、この作品に使われている、炭化するまで焼かれた豚肉と、その周りを固める塩。

もとは豚の死骸という、忌むべき存在であったものが、加工されスーパーに並ぶことで美味しそうな食材へ…私たちの印象は一変します。そしてそれが腐ると、また豚の生命が甦ったような感じがして嫌悪する…。
「人間って、当たり前のように、主観で物事の価値を判断していると思います」と篠塚さん。
「色んなことが、当たり前のように見落とされている気がします。私がその部分を拾い、作品にすることで、見る人が気付いてくれたら嬉しいです」
篠塚さんの手により、さらに別の存在へと変化した豚肉。
この作品を紹介した10月15日付けの毎日新聞では、「家具のミニマルな造形の中に『死』のイメージを織り込み、鑑賞者に問いかける」と結ばれています。
この作品の周りは、何か荘厳な儀式が行われているかのように、ピンと張り詰めた空気に包まれています。