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『青森県立美術館展 コレクションと空間、そのまま持ってきます』ギャラリートーク/レポートその④
『青森県立美術館展 コレクションと空間、そのまま持ってきます』開催中です!(~5/26まで)
さて青森県立美術館学芸員によるギャラリートークレポートその④<工藤哲巳、沢田教一、村上善男>です!


(以下はギャラリートーク<トーカー:青森県立美術館学芸主幹/工藤健志さん>の内容を一部抜粋・編集したものです。)
■工藤哲巳
工藤哲巳は1950年代終わりにデビューした日本の作家です。1960年代は反芸術、アンチアートの時代と言われました。反芸術を代表する作家の一人です。彼は1960年代の初頭からパリに渡り、ヨーロッパで活躍しました。1980年代半ばに日本に戻ってきて東京芸術大学教授に就任しましたが、2年ほどで残念ながら50代でお亡くなりになりました。パリでヨーロッパの当時の社会を批判する作品を数多く手がけました。工藤哲巳は自分の作品のことを社会評論のモデルだと言っていますが、アートというメディアで社会批評を行った作家です。今年の秋から国立国際美術館(大阪)、東京国立近代美術館、そして来年青森県立美術館で、20数年ぶりに、本格的な大規模回顧展が開催されますので大阪、東京、青森のどこかでご覧になっていただけたらと思います。
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▲工藤哲巳の作品の前で解説中。
「あなたの肖像ー工藤哲巳回顧展」巡回スケジュール
◆国立国際美術館 2013年11月2日[土]-2014年1月19日[日]
◆東京国立近代美術館 2014年2月4日[火]-3月30日[日]
◆青森県立美術館 2014年4月12日[土]-6月8日[日]


■沢田教一
沢田教一はドラマや映画にもなって有名な報道カメラマンです。青森出身です。ベトナム戦争に取材をして、一番有名な作品はこちらに展示している『安全への逃避』です。この作品でピュリッツァー賞を受賞して、一躍世界的な写真家になりました。残念ながら、プノンペンで銃弾を受けて30代半ばで亡くなられました。奥様がご健在で青森の弘前市に、つい先日までレストランを経営されていて、当時かぶっていたヘルメットやライカのカメラなども見ることができました。

■村上善男
村上善男は生まれは盛岡ですが青森県ゆかりの作家として紹介をさせていただきました。青森の弘前大学で長く教鞭を取られていたことと、お父様が青森出身で半分青森の血が流れているということで青森ゆかりの作家です。
福岡に菊畑茂久馬という美術家がいて、よく比較されます。それぞれ地方にいて風土を強く意識した作品を制作し、美術だけではなく文筆もします。
展示作品は古文書を裏返しに貼り、陣取りゲームに見立てた架空の地図です。弘前の寒沢町に見立てて点と点を打った釘打ちシリーズの一つです。作品にある乳白色や朱色は東北の色彩感覚に裏打ちされたものです。鳥居の赤は、福岡で見ても赤としか思わないと思いますが、青森で雪の中に鳥居が立っているとものすごく朱色が鮮明に目に入ってきます。村上義男の作品を通して東北の風土について考えてみると、色彩感覚の違いを想像していただけるのではないかと思います。


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作品を通して土地の違いを感じられるなんておもしろいですね。

ギャラリートーク/レポートはまだまだ続きます。お楽しみに!


・・・・・information・・・・・
『青森県立美術館展 コレクションと空間、そのまま持ってきます』
■日時: 開催中 → 2013年5月26日[日]
 OPEN 10:00-20:00      ※休館日は5/21[火]
■入場料: 一般400円、学生300円 高校生以下無料、再入場可


≪Exhibition Line-up≫
東松照明 時を削る
6月1日[土] - 7月7日[日] 
※休館日:6/18[火]

Art Toys World からくりおもちゃの世界展
7月13日[土] - 8月25日[日] 
※休館日:なし

※展覧会の内容・日程は変更になる場合がございます。詳細は今後の案内物やWEBにてお知らせいたします。
by artium | 2013-05-11 13:24 | 青森県立美術館展


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