人気ブログランキング | 話題のタグを見る
会場の様子をいち早くお届けします!
トークイベント(前半)
29日(日)、デザイナー石本藤雄氏をお招きしてトークイベントを開催いたしました。
今回は、トーク前半のリポートをお届けします!

トークイベント(前半)_f0023676_14385873.jpg

スパイラル、チーフキュレーターの岡田勉氏の進行によりトーク開始。
まずはフィンランドに渡る前に企業でデザイナーとして働いていたお話から・・・

(スパイラル 岡田勉氏:以後O)石本さんはマリメッコに入社する前は、市田株式会社という会社の宣伝部でデザイナーをされていたということですが、デザイナー時代はどういうお仕事をされていたのですか?

(石本藤雄氏:以後 I)市田株式会社は、ファッション、呉服から、寝具、タオル、繊維に関するあらゆるものを扱う問屋さんで、自分は呉服を担当していました。モデルさんに着物を着てもらって広告をつくる、展示会の会場をつくる、飾り付けをするなどの仕事をしていました。仕事のなかで一番興味を持って取り組んでいたのは、呉服店の店舗設計でしたね。
トークイベント(前半)_f0023676_1542974.jpg


O:大学ではグラフィックを専攻されたんですよね?

I:えぇ、僕たちは芸大の試験的なコースで、1960年に入ったんですが、デザイン・工芸に関して一通り勉強して最後の一年に専攻を決めるという形でした。そのころ学んだ工芸の経験はすごく良かったと思います。実際にその後、テキスタイルと陶芸を手掛けることになりましたしね。

O:市田という会社で働かれていて、1970年にヨーロッパに旅にでたのは何故ですか?

I:そのころの1960年末という時代は、20歳ぐらいの若い人がたくさん世界旅行に出ていました。僕はアメリカから北欧に入って、コペンハーゲンでスカンジナビアの空気に触れ、スカンジナビアの空気に自分がすごく合うなと思ったのです。
自分としては日本からやっていたデザインをやりたいと思っていました。そこで、マリメッコは以前から興味を持っていましたから、とにかくフィンランドまで行って訪ねてみようと思いました。
トークイベント(前半)_f0023676_14272335.jpg


フィンランドのデザインには学生時代から興味がありました。フィンランドのデザイン展がちょうど東京に出た年、1959年上野の松坂屋で開催されていて、アラビアやイッタラなどが展示されていましたね。その後、日本橋の白木屋というデパートで大きなフィンランドデザイン展がありました。カイ・ピアイネンなどの陶芸に衝撃を受けました。その人たちが、自分が現在所属するアラビアで制作していたんです。そういう中に入りたいなぁとは思っていました。

そういう経緯でフィンランドのマリメッコに行って、生まれてやったこともないテキスタイルプリンデザインがやりたいって言ったんです。無茶な話なんですけど(笑)でもそこで社長が興味をもってくれて、息子さんが経営されていたディッセンブレという会社に入社することが幸運にもできました。
ただ、テキスタイルとグラフィックデザインとはかけ離れているものでもないと思っていました。マリメッコのテキスタイルは、ほとんどシルクスクリーンというものなんですよ。

O:ディセンブレではデザインの仕事をしばらくされたんですか?他は何を?

I:ディセンブレでは写真も自分で撮りましたし、ショールームのディスプレイなどをやっていました。それと今のマリメッコのショルダーバックの開発を手掛け、基礎をつくりました。共同でやっていたので自分がデザインしたとは言えないのですが。

しかしディセンブレの周りの人も、自分がマリメッコのテキスタイルをやりたいというのはみんな知っていて、年に一度ぐらいはマリメッコにアプローチしていました。1・2回アピールしても駄目で、3度目にやっと企画ごとを持ち込んで興味を持ってもらいました。
トークイベント(前半)_f0023676_14561077.jpg
            「Kuja」(c)Marimekko Corporation
ポーランドのある農家の人たちが壁に絵をかいている村を雑誌で見て、こういう雰囲気でテキスタイルをやりたいと提案しました。そこで興味を持たれて、出張費をもらって現地調査をしてきなさいと。そのテキスタイルは鶏が走り回っているテキスタイルで初めてフィンランドで手掛けたプリントです。

ようやくアイディアの段階で認められたということですね。ただデザインして見せるだけではなかなか難しいと思います。デザインを採用されるということはそういうことなのかなと、そのとき思いました。
マリメッコには当時はマイヤ・イソラさん。日本からは60年代末に入社した脇坂さんがいました。マイヤは非常に筆使いがうまい人でした。流暢にどういうタッチでも筆を使える人なんです。脇坂さんはたっぷりとした筆遣い。(自分は)それとひとつ違ったものはできないかと考えて、落書きみたいにマジックで書いてみました。失敗すると一から書き直しです。

O:今回、福岡の展示では主役がマリメッコのファブリックなのですが、ご感想はいかがですか?

I:東京では、高いところにファブリックが展示されていて手が届かない雰囲気でしたが、こちらでは非常に身近に感じますね。
福岡オリジナルとしては陶器の新作を5点と、プライベートなアラビア社での写真を展示しています。

テキスタイルの作品は、実際は原寸ではなく、ほんの小さい筆で描いて拡大しているものも多いです。僕はグラフィック出で、むしろ拡大の効果を逆に使います。例えばですが、筆ペンでA4に描いたものを拡大しているわけです。

O:随分小さい原稿なんですね。


I:自由な環境と、後はすごくしっかりしたアートディレクターがいたということも非常にラッキーでした。

ちなみに僕のテキスタイルは、日本人には日本的と感じて頂くことが多いです。マリメッコでは日本的だと言われたことはないですね。結局自分のものを出さないと認めてもらえないので、自分の持つ日本的な感性を生かすことは自然なことです。

マリメッコでは面白いと評価されたら、それが商品になっていきます。例えばマイラが、スラブ系の民族衣装に使われているパターンなり、飾りなり、刺繍の柄をピックアップして、マイヤ流に筆で描きなおしてデザインしているコレクションがあります。それはスラブ流とは言わないですよね。マリメッコのスタイルとなっています。

O:そういう自由さがマリメッコという会社の懐の深さであり、面白さですね。

I:それとキャラクターとしても、たくさんのデザイナーを入れたいんです。ひとりのデザイナーが「マリメッコ」ということにはしたくないんですね。

・・・トークは後半に続きます。お楽しみに!
by artium | 2010-09-04 15:05 | 石本藤雄展-布と陶に咲く花


<< ノルシュテイン&ヤールブソワ ... 石本藤雄展 オープニングレセプ... >>