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会場の様子をいち早くお届けします!
『松尾高弘展 LIGHT EMOTION』 エンジニアリングトーク
開催中の『松尾高弘展 LIGHT EMOTION』はもうご覧いただけましたか。会期が~6/26〔火〕までと迫ってまいりました!皆様お見逃しないようにご来場下さい。

先日、開催したエンジニアリングトークの模様をお伝えします!“エンジニアリングトーク”は、技術的な部分を中心に作品解説していただくという新しい試みです。鶴野玲治氏(九州大学芸術工学研究院准教授)を聞き手にお迎えし、知りたいけれど聞きにくいような作品制作の裏側をお聞きしました。ごく一部ですが、その様子をお伝えします。

『松尾高弘展 LIGHT EMOTION』 エンジニアリングトーク_f0023676_18333276.jpg

▲『KOHRIN』について解説中の松尾氏(中央)と鶴野氏(奥)

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(以下はエンジニアリングトークから一部抜粋・編集したものです
『松尾高弘展 LIGHT EMOTION』 エンジニアリングトーク_f0023676_18365915.jpg

▲KOHRIN(2011)

《KOHRIN》
光の考えかた、風鈴などは日本古来の風が吹いて音が鳴るという日本のわびさびのあるものをモチーフにしました。強く揺れると発光が強くなります。上のファンから不定期に風が強く吹いてきますが、これは自然の風をイメージしていて風が吹くと光が強くなっていきます。見ていると変化があって楽しいですし、実際触ってもらって体験してもらう作品です。
(※そっと手で触れたり、息を吹きかけたりして揺らして下さい。繊細な作品ですのでお取扱いにはご注意下さい。)

(鶴野氏)揺れや光はどのように演出しているのですか。

素材だけで作っているアナログな作品です。一個一個の基盤の中にセンサーと配線が全部入っていて、ピアノ線から揺れが伝わるようになっています。金色の丸い金属のセンサーがあるんですが、これにピアノ線が繋がっていて、揺れる振動をセンサーが直接受けるようになっています。LEDはセンサーのところについていて揺れると電圧が変わります。この電圧が変わるという変化を利用してLEDが揺れに伴って光るというシンプルな仕組みにしています。最新の珍しい技術というよりはよく使われている技術です。
ボルト電源なので、ひとつひとつをコンピュータのUSB(5ボルト)につなぐと光ります。インスタレーションと言うのは特殊な場所なので、作品を作りながら例えばこれを商品にしたときにどうなるか、より人に近い商品になるように意識して設計しています。

(鶴野氏)たくさんありますが、全部でどれくらいありますか。

約230本です。それぞれがパソコンに繋ぐと動いている動いてないということを認識するようになっています。発展的に考えると、光っているところに模様を出す、音を出すなど、インターフェース(人に一番近いところ)にコンピュータに繋がってもっとひろげていけるのではないかと感じています。

(鶴野氏)この作品で苦労されたことはありますか。

もともとこの配置は厳密に考えていて、自然のものを厳密に考えると言うのは難しくて、どうしても作為的なことが出てきてしまいます。こういう形状はいったんモデルとして作って、それぞれの花がどれくらい離れていれば自然に見えるかということを考えます。人の手で自然なものを作ると言うのは本当に難しいことです。勝手に生やそうとすれば、ただ種をまけば勝手に生えてくるわけですけれども、そうはいかないので、なかなか苦労するところです。
スポンジはスタッフの皆さんにちぎってもらったもので、もともとは四角いただのスポンジでしたが自然な有機物っぽくしたかったので、手でちぎってもらいました。

(鶴野氏)コンピュータで映像を作る、自然物を再現するというのは大変難しいことですよね。リアルの形、素材感を再現するのは本当に難しいことだと思います。

どうしても自然造形をするときに感覚的になってしまって、人がこうしたいああしたいという意図が入ってしまうから、自然から離れてしまいます。コンピュータでシミュレーションをしてパターンを色々出して、それに沿って作っていくというようにコンピュータが作り出したほうが、自然造形という良さを生かした造形になるということを作りながら思いました。

(鶴野氏)自然はどうやって出来ているのだろうということを1から考えて作っていかないとだめなんですね。

本当はもっと片寄ったり散漫に生えたりするんでしょうね。

(鶴野氏)雪のような感じが出ていますね。軽さとか質感とか。

雪のようにも見えるしカビっぽくも見えるというように特定のものにしたくないんです。意図しないものにしたいと思っています。

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普段はあまり聞くことのない制作の裏側や作品に対する想い、、など貴重なお話しを聞く事ができました。ありがとうございました。

エンジニアリングトークは終わってしまいましたが、松尾氏本人が作品解説するギャラリートークを開催します!
◆ギャラリートーク 6/24〔日〕 14:00~ 予約不要(展覧会チケットが必要です)
幻想的な光の世界を体験しにいらして下さい☆

・・・・・information・・・・・
『松尾高弘展 LIGHT EMOTION』
◆会期 開催中 ~6月26日[火] ※最終日まで休館日なし
◆入場料 一般400円、学生300円 
再入場可、高校生以下無料

by artium | 2012-06-21 10:55 | 松尾高弘展


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