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『石田徹也展』 ギャラリートーク 作品解説その②
開催中の『石田徹也展』。いよいよ明日5/27〔日〕までです!

ギャラリートークレポートの続きをお伝えします。
  ※前回までのお話し 
     >>◆ギャラリートーク 
     >>◆作品解説その①

*ギャラリートーク
【日時】5月13日(日)11:00〜
【会場】三菱地所アルティアム(イムズ8F)
【話し手】堀切正人氏(2012年3月まで静岡県立美術館・上席学芸員を経て4月より常葉大学教育学部准教授に就任)

(以下は堀切氏のギャラリートークから一部抜粋・編集したものです)
『登場人物について』
石田作品では全部、登場人物が同じ顔をしています。これは自画像ということですが、石田徹也の言葉によると”他人の自画像”と言っています。自分の顔を描いているのには違いないのですが、単に「石田徹也」という個人の自画像ではなくて社会全体のサラリーマンであるとか若者であるという両方の意味があると言っています。

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▲『燃料補給のような食事』(1996年)静岡県立美術館蔵

『最後の作品について』(※『無題8』として本展展示)
石田徹也の絶作です。亡くなった後、イーゼルに掛かったままになっていた作品です。何にもないテーブル、からっぽの絵の具箱、絵筆も持たずに呆然としている自分という姿。最後としては胸に迫る作品です。必死になって絵を描き続け、10年間で残された作品は約200点です。未完成のものはほとんどなく緻密に描き上げられていました。1ヶ月に1点ちょっと絵を描いていたということになります。こんなに緻密な絵を1ヶ月に1点ちょっと描くということが絵を描くことにどれだけの時間をさいていたかと想像できると思います。寝ても覚めても描いていたと思います。夜は日雇いの仕事をして、寝て起きたらすぐ絵を描いて、寝食を惜しんで絵を描いていました。遮二無二なって絵を描いていた人の最後の絵が何も描けない自分というのは、自分を見つめる眼差しが厳しすぎる、また真面目すぎるのではないかと思ってしまいます。
作家亡き今、我々は遺された絵から解釈するしかありませんが、よく見るとマスキングテープが残っているので、これをはがして何か描くつもりだったのかもしれません。空っぽの絵の具箱に絵の具を足したかもしれませんし、絵筆を持たせたかもしれません。
しかしながら、想像の域をでませんが、何も描けない自分を表そうとしたのではないでしょうか。描けない自分を誰かが見ている。何も描けない自分を見つめて亡くなられたということをどう解釈するかは人それぞれかと思うのですが、「何も描けなくなった・・後はもう死ぬしかなかったんだ」とネガティブに捉えるのではなくて、ネガティブな自分をきちっと見つめ続けていた石田徹也をみるべきではないでしょうか。もし石田さんが事故で死ななければこの絵を書き上げて、この絵をひとつの区切りとしてまた次の展開が始まったのではないかと思います。石田さんの絵を見ると社会を生きるのはつらい、サラリーマンはつらい苦しい悲しいと思ってしまいますが、石田徹也自身は人を暗くさせようとしてこういう絵を描いていたのではないと思います。むしろそれを踏まえたうえで次のステップを踏み出していくという、生きることに対するポジティブな考え方があったと思います。
色々考えさせられる絵ではありますが、必要以上に暗くならずに、つらい悲しいと涙をながしたりしながら、でも次のステップを踏み出していこうと訴えかけているのではないでしょうか。




石田徹也氏の生きた時代背景から内面までお話しいただいて、より深く石田徹也氏を知る機会となりました。堀切さん、ありがとうございました。
同じ時代を生きる私たちに色々と考えさせてくれる作品の数々です。
会期残りわずかとなりました。貴重な機会を緒見逃しなく!!

・・・・・information・・・・・
「石田徹也 展」 —今を生きる、僕らの姿
◆会期 開催中 ~ 5月27日〔日〕
◆入場料 一般400円、学生300円 
再入場可、高校生以下無料

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by artium | 2012-05-26 11:18 | 石田徹也展


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