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ノルシュテイン オープニングトーク【第3回】
初日に開催した籾山昌夫氏によるトークイベントの様子をご紹介する第3回目。
今日は、モスクワにあるノルシュテインのアトリエの様子からご紹介します。

3.ノルシュテインの製作の裏側
※「」内は籾山氏のお話
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「上の写真は、モスクワのスタジオの撮影台で、『外套』を製作しているノルシュテインです。
カメラは上の方につけられていて、何枚ものガラス板が水平に並んでいます。
このことからこの撮影台のことを、複数の平面を意味する“マルチプレーン”と言います。

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ノルシュテインがサユーズムリトフィルムで『外套』の製作に着手したのが1981年のこと。
ところが、ノルシュテインと当時カメラマンだったアレクサンドル・シュコーフスキーが自分たちで設計して使っていた撮影台が、その5年後、1986年に別の製作チームに割り当てられてしまうのです。

なぜそんなことが起こってしまったかというと、実はこの1年前にゴルバチョフ政権が誕生して、経済政策と経済原理が導入され、制作開始から5年たっても完成しないノルシュイテンの『外套』は、後回しにされてしまったのです。

もちろん、ノルシュテインは、そんなこと納得できるはずもありません。
そこでノルシュテインとヤールブソワは、1989年にサユーズムリトフィルムを辞職し、その2年後に“ユーリー・ノルシュテイン財団”を設立します。モスクワ郊外のアパートの上下2階分をぶち抜いてスタジオを造り、新たに2台の撮影台を組立て、製作しているというのが、現在の状況です。
写真は小さい方の撮影台です。大きい方の撮影台は、色々なものが陰になり、写真に収めることができない状況です」

会場では、このマルチプレーンを展示用に再現したマケット(模型)を展示しています。

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実際にご覧いただくと、重なっているガラス面のそれぞれの層に、背景やキャラクターなどが配置され、奥行きが表現されているのが分かります。
それだけではありません。ぜひ会場で見ていただきたいのが、細かいパーツに分かれたキャラクターのつくりです。

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写真のように、『霧の中のハリネズミ』の主人公・ヨージックは、頭、胴体、両手、両足、針、と主に7つのパーツに分かれており、よく見ると、細かく動かすためにさらにいくつもの関節があることもお分かりいただけると思います。
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ノルシュテインは、ガラス面に配置された背景やキャラクターのパーツを少しずつ動かすことで、あの独特の情景や表情を生み出しているのです。キャラクターの所作についての徹底的なこだわりは、トークの最終回、『外套』についてのお話しでもご紹介いたします。

ちなみに、『霧の中のハリネズミ』は、このトークの時にとったアンケートの結果、最も人気の高い作品でした。ぜひ、マケットやデッサンなど、会場でしか見ることのできない製作過程と併せてお楽しみください。

★『霧の中のハリネズミ』は、以下の日時にご覧いただけます
・会期中の土日 13時− Aプログラム
・11月25日(木)18:30− ノルシュテインナイト

【画像】(上から)
・撮影:みやこうせい 
・撮影:みやこうせい 
・映画にもとづくマケット「ハリネズミの後を歩くミミズク」 2000年(1975年)[F.Y.&Y.N.]
・「霧の中のハリネズミ」ヨージックのディテール

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by artium | 2010-11-08 15:52 | ノルシュテイン&ヤールブソワ


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